筆界とは、公法上の境界線であり、わかりやすく例えるなら、マンション駐車場の場合、基本寸法通りに書かれた白線が筆界となります。月極として契約している駐車スペースは、筆界と一致するものです。
一方、所有権界とは、私人間で合意した境界線のことであり、マンション駐車場を利用するランクル等の幅が大きい車の持ち主が、隣接する軽自動車の所有者から、一部の駐車スペースをもらった場合の境界線が所有権界となります。
本来は、筆界と所有権界は一致するのですが、白線が消えかかったり、お隣同士で話し合いをして境界を決めた場合に、筆界と所有権界の位置がズレてしまうことがあります。
このように、筆界と所有権界は、どちらも境界線であるという点では共通していますが、その性質や位置は異なるという点に注意が必要です。
また、この制度は、必ずしも筆界(公法上の境界)ではなく、所有権界が明らかな土地が対象となっています。
そのため、マンション駐車場を利用するランクルの持ち主は、所有権界で申請することができます。
しかし、申請後は法務局が軽自動車の持ち主に、境界争いの有無等についての確認の連絡をします。
そこで、軽自動車の持ち主が、所有権の境界が本来の白線(筆界)であると主張してしまうと、「境界が明らかでない土地」と解されてしまい、却下されてしまう可能性が出てきます。
そのため、境界点にマーキングする場合は、過去に父に言われた等の記憶だけでなく、実際に隣地所有者(または管理者)と一緒に現場を見て、承諾を得てマーキングすることをお勧めします。