こんにちは。行政書士・土地家屋調査士の牧田一秀です。
6月17日(火)、北九州市公認の「一般社団法人 北九州空き家管理活用協議会」様主催のセミナーで、相続土地国庫帰属制度について講演を行いました。
「一般社団法人 北九州空き家管理活用協議会」様のHPはこちら
https://www.akikyo.com/
タイトルは「相続土地国庫帰属制度~現場から見たリアルと活かし方~」
当日は、市職員OBの方をはじめ、建築士・解体業者・測量士・司法書士・行政書士など、地域の土地や空き家問題に関わる専門職の方々が多数参加されていました。
そして私自身も、この制度が始まった直後から数多くの申請支援に取り組んできた立場として、現場で見えてきたリアルな現状と、制度を活かすためのポイントをお話しさせていただきました。
「制度は知ってるけど、使えるとは思ってなかった」
セミナーの冒頭で、参加者の皆さんにこう尋ねました。
「この制度について、相談を受けたことがある方はいらっしゃいますか?」
多くの方が手を挙げました。
ところが次の質問――
「実際に使ったことがある方、支援したことがある方は?」
ここでは、ほとんど手が挙がらなかったのです。
多くの方が「使えない制度」「絵に描いた餅」と感じていた。
その背景には、法務省のパンフレットに書かれている「建物がないこと」「境界が明確であること」といった条件が、現実から遠く思えることがありました。
実は、もっと柔軟です
けれど、実際の運用現場では、もう少し柔らかく見てくれるポイントもあります。
建物があっても申請は可能。
→ 承認後に解体すればOKなケースもあります。
境界も、精密な測量図がなくてもOKなことも。
→ しっかり説明がつけば、認められる可能性があります。
草木が生い茂っていても、事前に整備すればOK。
→ 見通しをよくしておけば問題ありません。
こうした実例をお伝えすると、会場の空気が明るくなりました。
「それならできるかも」「相談を受けたあの案件も動くかもしれない」――そんな声も聞こえてきました。
所有者一人では無理でも、私たちが一緒に動きます
この制度を使うには、確かに準備が必要です。
草刈りや伐採
建物の解体
境界の表示
申請書類や説明資料の作成
どれも一人でやろうとすると、心が折れそうになります。
でも私たち専門職がチームを組めば、
「どうにもならなかった土地」にも、ちゃんと出口を作ることができます。
そして、所有者の「もういらない」に、ようやく答えを出すことができるのです。
手放すことで、地域との“つながり”が生まれることもある
この制度は、「手放すだけ」の仕組みではありません。
むしろ、「そこから新しいつながりが生まれる」ことが、何度もありました。
・不要な土地を抱えていた方が、「ようやく解放された」とホッとする
・空き地となった場所が、地域の再活用につながる
・専門職同士が協力して、地域に関わるチームになる
・制度を通して、「個人の問題」が「地域全体の課題」として共有され、動き出す。
それを私は現場で何度も目の当たりにしてきました。
あきらめないでください
この制度に関して、セミナーの最後に私が強調したのは次のひと言です。
「やる前にあきらめるのは、もったいない制度です。」
遠方にある土地、どうにもならないと思っていた土地、相続したまま放置していた土地。
どれも、本気で整理したいと思ったとき、必ず“可能性”はあります。
私たちが支援すれば、その一歩を現実に変えるお手伝いができます。
お困りの方、また制度に関心のある専門職の方へ
現在、弊社のもとには制度に関する申請相談が全国から寄せられています。
審査には1年~2年かかるケースもありますが、申請と承認の実績は着実に増えています。
今後さらにリアルな情報をお届けできるよう取り組んでまいります。
「もう放っておけない土地がある」
「制度の活用方法を知りたい」
そう思ったときは、どうかお気軽にご相談ください。