相続した土地の扱いに困っていらっしゃるA様から、このようなご質問をいただきました。ご自身で土地の境界表示は行ったものの、隣接地の所有者が登記簿上の古い情報から更新されておらず、誰に境界の確認を取れば良いのか頭を抱えていらっしゃるとのこと。
相続国庫帰属制度では、申請が却下される条件の一つに「境界が明らかでない土地その他所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地」が挙げられています。そのため、A様のように隣地との境界について不安を感じるのは当然のことでしょう。
この記事では、隣地所有者が不明な場合でも相続国庫帰属の申請は可能なのか? そして、実際にどのような流れで境界の確認が行われるのか? について、専門家の視点から詳しく解説いたします。
隣地所有者への確認は必須ではない?申請の流れと注意点
ご自身で隣地所有者に連絡が取れない場合でも、相続国庫帰属の申請自体は可能です。しかし、その後の審査において、法務局が主体となって隣地所有者への確認手続きを進めます。
具体的には、申請時に提出された土地の写真や図面に基づき、全ての隣接地の登記名義人に対して、登記記録上の住所宛に書類が送付されます。 この書類には、申請された土地の境界に関する情報が記載されており、隣地所有者はその内容に異議があるかどうかを回答するよう求められます。
A様の場合、隣接地の登記名義は昭和20年代のままとのことですので、その当時の住所と名義宛に書類が送られることになります。
回答がない場合はどうなる?放置された隣地の扱い
もし、所定の期限までに隣地所有者から回答がない場合、再度通知が行われます。それでもなお、正当な理由なく回答がない場合は、その隣地の所有者から異議がないものとして取り扱われることになります。
この仕組みによって、長年放置され、所有者の所在が不明な土地が隣接している場合でも、手続きを進めることが可能になるわけです。
境界線が大幅にズレているとどうなる?審査のポイント
ただし、A様ご自身が行った境界表示が、本来の法律で定められた境界線と大きく異なっている場合、審査の段階で問題となる可能性があります。法務局は、提出された情報や現地の状況などを総合的に判断し、境界が明確でないと判断した場合には、申請が却下されることもあります。
連絡先不明でも審査の流れを知っておくことの重要性
このように、隣地所有者の連絡先が分からず、ご自身で境界の確認ができない場合でも、相続国庫帰属の申請は可能です。そして、法務局が主体となって境界確認の手続きを進めることになります。
A様のように、ご自身で対応できない部分がある場合でも、審査の流れを事前に理解しておくことは、スムーズな手続きを進める上で非常に重要です。
もし、相続した土地の境界について不安な点があれば、専門家である私たちに遠慮なくご相談ください。お客様一人ひとりの状況に合わせて、最適なアドバイスとサポートを提供させていただきます。