

最近、相続土地国庫帰属制度について、事前に色々調べたうえでご相談いただく方が増えてきました。
制度への関心が高まっていること自体は、とても良いことだと思っています。
インターネット上には、制度概要や法律用語、申請条件など、多くの情報があります。
最近はAIなどを使って調べることもできる時代になりました。
ただ、実務の現場では、
「ネットの情報だけでは判断できないこと」
が非常に多くあります。
例えば、
・現地で境界が確認できるのか
・隣接地へ越境がないか
・倒木や崩落の危険はないか
・そもそも安全に立ち入れる土地なのか
こうしたことは、図面や写真だけではわかりません。
以前、ある休耕地についてご相談を受けたことがありました。
最初に送られてきたのは、草が生い茂った土地の写真だけでした。
相談者の方は、
「この写真から境界はわかるか」
「承認の可能性はありそうか」
という点を知りたいご様子でした。
その後も、追加で細かな写真が送られてきましたが、写真だけでは、どうしても大まかなことしかお伝えできません。
実際に境界を判断するためには、現地確認や資料調査、場合によっては測量や隣接地との確認も必要になるからです。
そのため私は、
「無料相談にはどうしても限界があります」
というお話をさせていただきました。
その後、その方からご連絡はありませんでした。
そして約一年後。
たまたま別件でその土地の近くを通る機会があり、現地を見てみました。
すると、境界表示をした形跡もなく、伐採なども行われていない状態で、時間だけが経過しているように見えました。
もちろん、ご本人にも様々な事情があると思います。
費用面の不安もあったのだろうと思います。
ただ、土地の問題は、「考えているだけ」では、なかなか前に進みません。
また最近は、航空写真などで現在の土地の様子を確認し、現地へ行かずに申請できないかと考える方もおられます。
しかし、相続土地国庫帰属制度では、単に航空写真で土地を確認できるだけでは足りません。
実際には、現地で境界が確認できるのか、周囲へ影響を与えていないか、管理状況に問題はないかなど、現場レベルで確認すべき事項が数多くあります。
特に山林や休耕地は、長年放置されることで、境界・樹木・安全面など、少しずつ問題が積み重なっているケースもあります。
最近はネットやAIで多くの情報を調べられる時代になりました。
しかし、最終的に重要になるのは、
「現地で何が起きているか」
です。
だからこそ私は、図面や情報だけではなく、現地の状況を大切にしながら、一件ずつ判断するようにしています。